目次
~いよいよ収穫シーズン到来!~
厳しい冬が明け、寒さを耐えしのいだ海藻達はぐんぐん成長し、いよいよ収穫の時期を迎える。カネリョウの担当者も産地へ入り、成長を見極めながら選別し、仕入れを行う。これからが一年で一番忙しくなるのだ。その前に、通販ショップ『おかげさま』の店長として気になるのが、今年の海藻の良し悪しだ。社内一の海藻目利き人の大先輩に今年の状況を詳しく聞いたので、ひと足先に皆さんにお知らせしたいと思う。
もずく
主な産地は沖縄県で、生産量の98%を占めるほか、鹿児島県の奄美大島などでも収穫される。市場で出回るほとんどが養殖で、最近では早穫れもずくの需要が高まっていることにより、収穫時期が早まりつつあり、旬は3〜5月とちょうど今である。
沖縄のもずくは、海中に潜り掃除機のようなホースで、養殖網からもずくを吸い取るように収穫を行う。早い時期のものは柔らかくヌメリが多く、収穫時期が遅いものはヌメリは少ないがシャキシャキの食感が特徴だ。
この原稿を書いている3月下旬現在、今季の新物は順調とのこと。じゅうぶんな収穫量の確保のためにも、5月に台風が来ないことを祈りたい。
わかめ・めかぶ
産地は三陸や徳島県の鳴門がメインで、カネリョウの地元熊本県天草産などの九州産もある。こちらもほとんどが養殖で収穫時期はもずくと同様、今がその真っただ中となる。
– 坂本店長の身長ほどのわかめ –
海上に張った養殖ロープにたわわに育ったわかめをたぐり寄せ、一株一株ていねいにカマで切りとり、その後、めかぶとわかめの葉に分けられる。収穫の早い時期のものは全体的に柔らかく香りも強い。徐々にわかめは葉がしっかりと肉厚に、めかぶもコリコリした食感となっていく。
寒波の影響を受けた三陸産は、今のところまだ育ちきれておらず、本格的な収穫は4月以降の見込みとのこと。カネリョウ養殖部が育てる熊本の天草産は順調な生育で、すでに収穫も始まっている。
アカモク
あまり知られていないが、実は日本全国に自生しており、ほとんどが天然ものである。3~4月が収穫時期で、時期の早いものは鮮やかな緑色で、ヌメリが少なく歯ごたえはシャキシャキに。胞子部分が成熟してくるにつれてヌメリが多くなり、ネバネバ食感になっていく。
アカモクに似た海藻もあるため、熟知した漁師が収穫するのだと聞いた。今のように海藻ブームでもなく、アカモクの効能が知られる前は海の雑草扱いで、食べる習慣すらなかった地域や、その存在すら意識しなかった漁師も多いそうだ。
アカモクは魚の産卵場となる藻場の役割も果たしているので、乱獲はせず、保護の意識が必要となる。根元を残して収穫するのは、このためだそう。
天草産は収穫までもう少し時間がかかりそうとのこと。ある時期から急激に成長するため、現地の漁師たちは常に収穫のタイミングをうかがっている状況だそうだ。
〜鹿児島県奄美大島〜
いざ、西郷隆盛潜居の地奄美大島へ
春とは名ばかりの花冷えの熊本の地を出発し、ひと足早く暖かな春真っ只中であろう奄美大島めざすべく、まずは鹿児島空港へ向かった。
鹿児島空港から奄美大島の奄美空港までは、1日8便JALが運航。所要時間は1時間20分ほど。今回の取材は新商品候補の『奄美もずく』の生育地と生産者のみなさん。もずくといえば沖縄が生産量日本一で、カネリョウの通販ショップ『おかげさま』でも『美ら海もずく』 は人気商品。一方、奄美のもずくは、たしかに生産量では大きく水をあけられているが、旨み、品質では引けをとらないと聞くから、かなり期待できそうだ。
空港に着くと、日に焼けた豪快な笑顔で「カネリョウ様御一行」の紙を掲げた外薗哲郎さんが出迎えてくれた。 その後、同じくもずく漁師をしている息子の哲人さんと、こちらも親子二代でもずくを育てる前田将一さん、海藻問屋の大幸水産会長と専務に合流し話をうかがった。
驚きの新事実 もずくの養殖技術は海苔に倣う!?
ひとくちに「もずく」といっても、その養殖法には2種類ある。沖縄では、温暖な気候を利用して一年の大半、継続的に行われるが、奄美では前期と後期の2回、漁場を変えて行われる。
藻場で採取された母藻をコンクリート製のプールで培養することで胞子が出て種付けが完了する沖縄方式に対し、奄美では、芝生のようなふかふかした藻場の岩場の裏に繁茂する天然のもずくの種を、20メートルのロープに張ったビニールシートの表面に採苗する。さらに袋状のシートで覆い、両端を結んで10日ほどかけて種付けを行う。
この採取方法は水産試験場で何度も試すが安定しなかったところ、前田さんの父で竜郷町漁協組合員の博さんが有明海苔の養殖業に学び、海苔網を使うことで三〇年ほど前に確立したという。
– 試行錯誤の末、もずくの養殖技術が認められる –
さらに5枚ずつ重ねた網を海に沈め40日ほどかけて育苗する。最初の20日くらいで1ミリほどの芽が出現し、さらにもう20日で数センチに成長する。沖縄のようにリーフが発達していないため、もずくが切れてしまわないよう、うねりのないところで育苗を行う。本張りは沖合で一枚ずつばらし、全部で200枚ほどの網を素潜りで行うという。なかなかの重労働だ。
ここからは風の力を借りて揺さぶりながら日照させる「浮き流し方式」で育てていく。これが奄美発祥の「浮き流し式もずく養殖技術」である。
– 収穫も海苔の手法にならう –
育苗の場所は何年も使っていると痩せて生産量が落ちてしまうため、五年周期で遊ばせ、台風などを経て養分の高い海に戻す。
見渡す限り続く広大で美しい海であっても、味のよいもずくの成育に適した場所は限られる。
収穫は、沖縄の複数回に対し、奄美は一回きりの一発勝負だそう。ゆえに、十数年前の大きな台風の際には、一晩で40トン余りのもずくが流れてしまい、頭を抱える事態となってしまった。それからは、育苗、本張り、収穫も少しずつ時期をずらしているとのこと。
– 養殖の一連の流れを説明してくださった前田将一さん –
幾度の挑戦と自然との闘いを経て、いよいよ収穫を迎える。どうやら今年のできは、かなり期待できそうだ。
国内で生産されるもずくの、ほんの数%の生産量しかない奄美もずくは、繊維が細くぬめりが強い。細く歯ごたえがあり、旨みも格別であることから、料亭や固定客からの指名も多いという。
次号では、今季採れたての奄美もずくを徹底解説。その美味しさやおススメの食べ方をご案内いたします!
(ライター 日渡好美)
~熊本県阿蘇編~
店長の坂本です!
今回のおすすめスポットは熊本県の阿蘇地域。九州を代表する活火山を有する阿蘇ですが、ただの山では?と思われている方も多いため、この場をお借りして少しご紹介します。
阿蘇最大の特徴は南北25キロ、東西18キロの世界最大級のカルデラ(火山活動でできた凹地)。よって阿蘇山というのは山単体の名前はなく、阿蘇五岳などを含めた山々の総称です。
大規模カルデラ自体はそこまで珍しいものではないのですが、そのカルデラの内側で約5万人の人々が普通に生活を営んでいることが世界的に珍しいといわれています。
このおかげできれいな地下水が熊本県内にもたらされ、美しい草原、豊富な農産物、貴重な文化を生み出してきました。2013年には世界農業遺産に指定されました。
阿蘇は熊本県民にとって自然の『おかげさま』をとても感じられる場所です。そして身近なドライブスポットであり、バイク乗りの聖地!私も趣味のバイクで何度も駆けずり回りました。
そんな中、2016年に熊本地震が起こり、阿蘇も甚大な被害を受けました。しかし!懸命な復旧作業により、少しずつですが、復興が進み、新しい阿蘇の姿を見せてくれようとしています。
皆様も、もし熊本に来られる機会があればぜひ魅力満点の阿蘇へお立ち寄り下さい!
これから最高のバイクシーズンとなりますので、私も阿蘇に行くのが楽しみです!
– 雄大な阿蘇と坂本の愛車 –
今月のスタッフ/おかげさまスタッフ 首藤真梨
今年入社二年目になりました、制作担当の首藤です。
学生の頃にデザイン関連を学んでいたことを活かして、パソコンと制作ソフトを使い、商品案内やおかげさま新聞のようなDMの制作をしています。
趣味は旅行などのアウトドア、そして動物と遊ぶこと!最近はハムスターを飼い始めました。
もともと家族揃って動物が好きなので、実家では犬を飼っているのですが、一人暮らしを始めて動物が恋しくなり、ついに家族に迎えました♪
今年の注目の的となっている『西郷どん』から、西郷と名付けています。
ハムスターは夜行性で夜活発になるので、帰宅後室内をお散歩させてあげたり、たまに野菜等のおやつをあげたり…。日に日に成長していく姿に感謝しつつ、名は体を表すとはよくいったもので、西郷隆盛のようにパワフルに育ってくれて驚いています(笑)。
今年は新たな癒しを活力に、『おかげさま』はさらにパワーアップしていきたいと思っております。
今後ともご愛顧いただけますよう努めて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします!
– 愛犬ならぬ愛ハムスターの西郷 –
編集後記
– 坂本店長Jr.涼輔くん –
ついに春がやってきました!
おいしい海藻がたくさん食べられる…などなど、いろんな欲望が湧き出てくる季節となりました(笑)。先日息子の涼輔が一歳半となり、謎の言葉を話し始め、日に日にコミュニケーションが取れるようになるのがとても嬉しく思います。そして『おかげさま』も皆様とのコミュニケーションを大切に、今後も取り組んでいきたいと感じました。
次号もお楽しみに!