第2回〈メイラード反応とHMF〉/「HMFと健康」全5回

レモン
※写真はイメージです。

 

 

「HMFと健康」全5回
第1回 HMFはどこにある?
第2回 メイラード反応とHMF
第3回 HMFは善玉か悪玉か?
第4回 くすりになったHMF
第5回 公開準備中

 

メイラード反応とHMF

 砂糖とアミノ酸を混ぜて加熱すると、黄色~茶褐色に色づいて、同時によい香りがしてきます。たった2つの物質から1,000種類以上の色と香りができるのです。

 

 凄まじい化学反応・・・その不思議な変化の最初の産物が、パームシュガーにも入っている香り成分ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)です。

 

 今から100年ほど前、フランスの化学者メイラードは、加熱調理の化学変化を論文に書きました。

 その後ヨーロッパの主要都市は2度の世界戦争に見舞われて、ようやく平和が訪れた1950年代、食文化の発達とともに、加熱調理の化学が研究され、正式に「メイラード反応」と命名されました。

 

 そして色と香りの1つ1つは「メイラード反応産物(MRPs)」と呼ばれるようになったのです。

 

 HMFはパームシュガーの黄色の素になっています。

 HMF自体は無色ですが、僅かに含まれているアミノ酸と反応して黄色い色素に変わるのです。パームシュガーが黄色い砂糖と呼ばれるわけは、複雑でかつ魅力的なメイラード反応に基づいています。

 

 パームシュガーを調理に使うと、精製した砂糖を使ったときとは異なる、より芳しい香りの料理ができ上ります。

 

 何故かというと、砂糖に代わってHMFがメイラード反応の原料になるからです。しかも砂糖の場合より低い温度で、より早く色と香りができ上ります。

 

 HMFとアミノ酸は、熱をかけてもかけなくても反応します。アミノ酸を多く含む肉や魚を焼いたり揚げたりする料理では、できてくる香りの種類は500は下らないとの論文があるほどです。

 

 このようにパームシュガーを調理に使えば、同じ食材を使ってもこれまでとは違う味と香りに仕上がることがあるのです。

 

 HMFとアミノ酸が引き起こすメイラード反応は、アミノ酸以外の食品成分が加わると更に激しく変化します。

 最も影響が強く出るのは有機酸です。日本の食酢だけでなく、バルサミコやビネガー、またはレモン汁でもよいのです。

 

 それぞれの酸味が合わさって、複雑な分解物を作ります。メイラード博士が書き残した「加熱調理の化学変化」とは、砂糖とアミノ酸が基本ですが、パームシュガーのHMFからスタートすれば、より速く反応しますし、有機酸を加えれば色と香りのMRPsが2倍にも3倍にも増えるのです。

 

 如何でしたか?もしあなたが料理好きなら、メイラード反応とHMFのことをちょっと知っていれば、パームシュガーが作り出す未知の味と香りを楽しむことができますよ。

 

さあ今すぐキッチンで試してみましょう。

 

〈まとめ〉

① 砂糖とアミノ酸とが反応することで、パームシュガーは黄色い色をしている。

 

② パームシュガーを調理に使えば、これまでとは違った味と香りに仕上がる。

 

③ パームシュガーにお酢やレモン汁などの有機酸を加えれば、色と香りが2倍にも3倍にも増す。

 

④ ①~③は、「メイラード反応」(褐変反応とも呼ぶ)により生じる。

 

 

「HMFと健康」全5回
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第2回 メイラード反応とHMF
第3回 HMFは善玉か悪玉か?
第4回 くすりになったHMF
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岡教授

 

■岡 希太郎(おか きたろう)

1941年、東京都生まれ。東京薬科大学名誉教授。

東京大学薬学部博士号取得後、スタンフォード大学医学部客員研究員。日本の薬学教育に医療薬学を導入して、薬の正しい使い方を教授研究した。引退後は「コーヒーと健康」をライフワークとして予防医療を研鑽している。

 

著書に『珈琲一杯の薬理学』(医薬経済社)、『コーヒーの処方箋』(医薬経済社)、『カフェイン もうドーピングなどとはいわせない』(医薬経済社)、『医食同源のすすめ』(医薬経済社)、『毎日コーヒーを飲みなさい。』(集英社)、『珈琲一杯の元気』(医薬経済社)。